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2025年01月16日

将来の気候変化によるアマゾン熱帯雨林の炭素損失の不確実性を低減(C02班)

研究分担者: 立入 郁 海洋研究開発機構/グループリーダー(統合モデル)

 

 国際気候モデル比較プロジェクトCMIP6に参加した地球システムモデルに対し、過去の昇温と将来のアマゾンの高温乾燥化・炭素損失の予測との相関を用いた制約(emergent constraintとよばれる手法の一例)により、アマゾンの気候変化による(CO2施肥と土地利用変化の影響は含まない)炭素損失の推定値の分散を34%減少させることができました。過去の地球温暖化傾向を過大評価したモデルは将来のアマゾンの状況をより暑く乾燥したものと見積もる傾向があり、これを考慮した場合、2100年までのアマゾンの熱帯雨林における気候による炭素の損失は従来考えられてきたよりも小さいことが示されました。

図. アマゾン森林地帯における将来予測を過去の気候変化を用いて制約(地表気候および気候に起因する炭素循環変化について。図中のマークは各気候モデルを示す)(Melnikova et al., 2024)

 

キーワード:アマゾン熱帯雨林、炭素循環、将来予測、不確実性、emergent constraint、地球システムモデル