研究概要
土壌微生物群集は、生態系において有機物分解に代表される重要な生物圏機能を担うとともに、土壌呼吸等の生態系過程を通じて大気中の温室効果ガスに影響している。しかし、これらの生態系レベルの過程における土壌微生物群集の役割、特に生物間相互作用が果たす役割についてはよくわかっていない。その主たる理由は、(i)種間相互作用や機能遺伝子間の相互作用の検出と(ii) 生物圏機能との因果関係推定の難しさにある。本課題では以下の4つの内容を行う。
- 環境要因をコントロール可能な土壌微生物培養実験系(マイクロコズム)を構築し、経時的なメタゲノム解析(菌叢解析とある程度の機能遺伝子の解析が可能なショットガン解析)を実施する。
- 本多種時系列データを非線形時系列解析による因果推論に供することで種間および機能遺伝子間の相互作用ネットワークを特定した上で、同時計測された生物圏機能に強い影響を及ぼす群集・メタゲノム構造を特定する。
- 特定した鍵となる群集・メタゲノム構造の重要性を野外における土壌微生物および土壌呼吸観測データから評価する。
- 実際に土壌微生物機能に影響を与えうる環境要因の効果について培養実験系で検証する。
以上の解析を通じて土壌微生物群集の機能決定において鍵となる群集・メタゲノム構造を特定するとともに、それに影響を与えうる環境要因を明らかにする。
研究メンバー一覧
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- 研究代表者
近藤 倫生KONDOH Michio東北大学/教授(データ解析) -
- 研究分担者
永田 裕二NAGATA Yuji東北大学/教授(微生物実験) -
- 研究分担者
大坪 嘉行OHTSUBO Yoshiyuki東北大学/准教授(DNA分析) -
- 研究分担者
加藤 広海KATO Hiromi東北大学/助教(微生物実験) -
- 研究分担者
川津 一隆KAWATSU Kazutaka東北大学/助教(微生物実験)