【研究紹介】生物圏予測に資する空間高解像度な十年気候/海洋予測
- C分野
- C03班
2025年01月20日
見延 庄士郎 北海道大学/教授(大気海洋に関する気候科学)
従来、大気海洋変動の予測は、半年から1年程度先を対象とするエルニーニョなどの季節予測と、数十年以上先の温暖化予測の2つに大きく分けられていました。しかし近年では、複数年から10年程度先までを見通す「複数年予測」や「十年予測」の研究が進展しています。このような複数年予測を可能にするためには、気候変動のメカニズムの中に年単位で蓄積される「記憶」が存在することが必要です。北太平洋において、この予測可能な「記憶」のメカニズムとして注目されているのが、「ロスビー波」と呼ばれる大規模な海洋波動です。ロスビー波は、数年をかけて北太平洋を横断し、特に日本近海における黒潮続流に大きな影響を与えることが知られています。
黒潮続流とは、日本の南を流れる黒潮が房総半島付近で沿岸を離れ、その後、さらに東方へと流れる海流を指します。本研究では、**世界気候研究計画(World Climate Research Programme, WCRP)が推進する気候モデル相互比較プロジェクト(Climate Model Intercomparison Project, CMIP)の枠組みで実行されている十年気候予測プロジェクト(Decadal Climate Prediction Project, DCPP)**の予測データを解析します。さらに、統計的推定を組み合わせた「ハイブリッド予測」を用いて、黒潮続流変動の複数年予測を目指します。
キーワード: CMIP, 複数年予測,十年予測