ニュース

2022年07月25日

デジバイセミナ【2022/7/26】:山北 絵理
自己紹介とこれまでの研究ーコケ土壌と装置について
畑了森林生態系の物質生産における細根フェノロジー役割

【日時】 2022年7月26日(火)16:00-, Zoom


  • 演者  山北 絵理(九州大学・農学研究院)
  • 題名  自己紹介とこれまでの研究ーコケと土壌と装置についてー
  • 要旨

 A01班PDを代表して山北絵理が自己紹介とこれまでの研究について紹介する。これまでの研究ではコケがどのように岩石を風化させ土壌が形成されていくのかに関心を持って研究を行ってきた。コケ植物は、新たに形成された溶岩上などに最初に生育し、岩石を風化して土壌を形成する第一歩となると言われてきた。しかし、コケが岩石の風化にどのように作用しているかや、岩石からコケが受ける作用は未解明である。
 そこで、微小部分光分析手法(顕微可視、赤外、ラマン、SEM-EDS等)を用いて、岩石に直接生育しているコケについて元素分布や化学形態を分析し、コケと岩石の境界部に注目して解析を行った。また、岩石上でのコケの栽培実験によって岩石からの元素の溶脱量へのコケの作用の解明を試みている。また、これらの作用への微生物の関与の解明にも取り組んでいる。
 A01班の研究課題では、土壌中に保持される有機物について、これまで土壌学で培われてきた知見と、最新のデータを包括的に解析することで、その動態を明らかにしたいと考えている。最後に九州大学で利用可能な分析装置についても紹介する。


  • 演者  仲 畑了(東京大学・農学生命科学研究科)
  • 題名  森林生態系の物質生産における細根フェノロジーの役割
  • 要旨  

 森林樹木の細根(直径2㎜未満の根)は高い回転率によって生態系純一次生産の多くを消費していると推定されている。細根から供給される水分や栄養塩は地上部の光合成や繁殖生産における必須資源であり、特に葉群動態やマスティング(繁殖生産が空間的に同調しながら大きく年変動する現象)のメカニズムを解明するためには細根動態と関連付けた資源のやり取りを理解する必要がある。
 本発表では、マスティングを伴うブナ林における、季節ごとの細根生産に対する地上部の葉生産・堅果生産・木部肥大生産の相関関係を解析した研究結果を紹介する。この研究から、細根はその生産フェノロジーを変化させることにより、地上部の栄養成長と生殖成長を多機能的に支持する役割を担っている可能性が示された。森林地下部の物質循環を支配する細根生産は、主に環境要因(温度・水分など)や生理要因(葉・繁殖動態など)で変化すると考えられるが、その関係の強さは季節によっても大きく異なることがわかってきた。


【公募班自己紹介(予定順)】
  石原正恵, 両角 友喜, 比嘉 紘士, 村瀬 潤, 中山 恵介, 兵藤 不二夫, 白井 一正,
  梁 乃申, Wu Wenchao, 安藤 麻里子, 桑江 朝比呂, 秋津 朋子