【研究紹介】風乾土から容易に回収できる水抽出有機物に秘められた可能性
- A分野
- A04班
2023年08月10日
永野 博彦 新潟大学/助教(温室効果ガス動態)
土壌の一般的な長期保管形態である風乾土の水抽出有機物についての論文が公表されました。茨城の森林内で採取された47の風乾土壌試料を使った本研究では、乾燥土壌を急激に湿潤した際に土壌中の微生物細胞が破壊され細胞内の有機物が水中へと溶け出す現象を利用した新しい土壌有機物分解動態推定手法を提案しています。
本研究により、新鮮土壌ではない風乾土からでも容易に回収できる水抽出有機物の安定同位体存在比を分析することで、土壌微生物の有機物分解動態を推定できる可能性が示されました。今後、他の様々な土壌にも本法を適用し有効性を検証していきながら、不確実性が残されたままになっている土壌有機物分解動態モデルや温室効果ガス動態予測モデルの予測性能向上に寄与していくことを目指しています。
キーワード: 土壌有機物、微生物分解、水抽出、風乾土、安定同位体比
引用文献: Nagano, H., Atarashi-Andoh, M., Tanaka, S., Yomogida, T., Kozai, N., Koarashi, J., 2023. Stable C and N isotope abundances in water-extractable organic matter from air-dried soils as potential indices of microbially utilized organic matter. Front. For. Glob. Chang. 6, 1228053. https://doi.org/https://doi.org/10.3389/ffgc.2023.1228053
(2023年7月11日論文掲載)