【研究紹介】森林生態系のフラックス観測によって根呼吸の時間変動に関する特性と要因を解明する
- B分野
- B03班
2022年07月20日
平野 高司 北海道大学/教授(農業気象学)
本研究では,日本の3つの森林サイトにおいて,渦相関法と大型自動チャンバーシステムを用いて同じ対象エリア(フットプリント)の生態系CO2フラックス(正味生態系CO2交換:NEE)と土壌CO2フラックスの同時連続観測を行う。まず,機械学習により,土壌の物理・化学的な環境要因から微生物呼吸を推定するモデルを作成し,土壌呼吸から根呼吸を高精度で分離する。また,大型チャンバー内の細根動態(生産,枯死)を定期的に測定し,根呼吸と細根動態および地温の関係性をモデル化し,根呼吸を成長呼吸と維持呼吸に分離する。さらに,維持呼吸の温度感受性を利用して,地温に対して標準化した根呼吸を求める。標準化した根呼吸とNEEから推定される群落光合成(GPP)との連動性と周期性についてウエーブレット解析を行い,両者の遅れ時間の季節変化を定量化する。得られた結果を用いて,様々な時間スケールにおける根呼吸の時間変動の特性と要因を解明したい。
キーワード:森林生態系,根呼吸,光合成,時間変動