研究レポート

【研究紹介】
海色リモートセンシングによる沿岸域のための固有光学特性推定法の開発

  • B分野
  • B03班
2022年10月06日
 比嘉 紘士  横浜国立大学/准教授(人工衛星データ解析)

 本研究では,高い生物生産性と生物多様性を有する沿岸環境を対象として,B02研究計画の対象である植物プランクトン種組成推定の基礎パラメーターとなる「水中の固有光学特性(IOPs: Inherent Optica Properties)」に着目し,光環境が複雑な沿岸域において高精度に汎用的にIOPsを推定する新しいアルゴリズムを開発する.また,ハイパースペクトルセンサーを含む最新の高分解能の海色衛星データを使用し,河口域・港内・浅場等の小領域を含んだ沿岸域においてIOPsの広域推定を試みる.本計画の達成のため,本研究では,B02研究計画で対象とする沿岸域において水質・光学観測を実施すると共に,既存の全球及び複数の沿岸域の光学・水質実測値を使用し,光学的特性に基づく水塊分類手法を組み合わせ,従来のIOPs推定の適用限界の拡張を目指す.開発したアルゴリズムは,現地による光学・水質観測と衛星観測との同期データを用いて精度検証を実施する.本研究で得られるIOPsの空間情報は,植物プランクトン種組成推定を高精度化させ,デジタルバイオスフェア開発に向けた沿岸生態系の地理空間情報の作成に貢献する.

 

キーワード: 植物プランクトン,有色溶存有機物,海洋光学,人工衛星データ,GCOM-C