研究レポート

【研究紹介】
異なる気象条件下における森林生態系の細根生産量:
NPP配分比率の変動解明に向けて

  • B分野
  • B03班
2022年08月05日
 片山 歩美  九州大学/助教(物質循環)

 細根の生産量(以下、細根NPP)は森林生態系の純一次生産量(NPP)の約3分の1を占めるが、その割合は気温や降水量などの環境要因や樹種によって大きく変動するため、炭素循環モデリングにおいて大きな不確定要素となっている。地上部NPPに比較すると細根NPPのデータは圧倒的に少なく、調査方法も多様で方法間のばらつきも大きい。そこで本研究では、地上部NPPのモニタリングが行われている全国各地の多様な森林(常緑針葉樹、落葉針葉樹、落葉広葉樹、落葉樹混交林)において、細根NPPを同一手法により測定し、データを収集する。これにより、環境要因や樹種が葉・幹枝・細根へのNPP配分比率に与える影響を評価する。本研究の成果により、フラックス計測では評価不能な細根の生産量を評価し、炭素循環モデルの精度向上の一助となることが期待できる。

写真:回収したイングロースバッグの様子。メッシュバッグを一定期間、土の中に埋め、回収したメッシュバッグ内に入った細根量から細根生産量を推定する。

 

キーワード: 純一次生産量、炭素循環、イングロースコア、アロケーション