研究レポート

【研究紹介】
ゲノム配列に基づいた被子植物種ごとの炭素固定能力推定モデル開発

  • A分野
  • A04班
2022年08月02日
 白井 一正  九州工業大学/研究員(ゲノム解析)

 植物は、大気中の二酸化炭素を固定する能力を持つ、地球環境を改善する能力を持った生命体である。地球温暖化を緩和し、地球環境を安定化するためには、植物の光合成活動を活発化させ、分解されにくい有機物を植物に作らせる炭素固定能力を地球規模で向上させることが重要になる。しかし、植物種によって著しく異なる炭素固定能力を把握することは、これまで困難であった。そこで、本研究の目標は、陸上植物の90%を占める被子植物において、種ごとに異なる炭素固定能力を、遺伝情報であるゲノムから予測する方法を開発することである。
 本研究では、炭素固定能力の評価基準として、遺伝要因によって強く決定される2種類の形質値、乾燥重量あたりの光合成速度(Amass)と葉面積あたり葉重(LMA)を利用する。これらの形質値を、植物種ごとのゲノム中の遺伝子構成の違いから予測するモデルの構築を行う。構築したモデルの有用性は複数の方法によって検証する。本研究手法が確立すれば、遺伝要因で決定される様々な形質値をゲノムから予測可能になる。

キーワード: 遺伝子ファミリー、炭素固定能力、被子植物