研究レポート

【研究紹介】
森林生態系の根呼吸の時間変動に関する特性と要因を解明する

  • B分野
  • B03班
2023年10月16日
平野 高司  北海道大学/教授(農業気象学)

 本課題では森林の根呼吸を研究対象としている。根呼吸(RR)を直接測定することは困難で,根切りを行って微生物呼吸(RH)を測定し,無処理で測定した土壌呼吸(RS)からRHを減ずることで推定することが一般的である。しかし,この方法ではRHの空間変動が考慮されず,推定されたRRの不確実性が小さくないと考えられる。そこで,環境変数を説明変数とした機械学習(ランダムフォレスト)を行い,RHの時空間変動のモデル化を行った。ここでは,国立環境研究所の苫小牧サイト(落葉広葉樹の未成熟林)に設置されている大型チャンバーシステム(0.9 m×0.9 m×0.9 m)で2021年と2022年の無積雪期に連続観測されたRS(5反復)とRH(5反復)の1時間値を用いた解析結果について述べる。観測期間のRSとRHの平均値は,それぞれ2.84±0.08,2.42±0.08μmol m-2 s-1(平均±標準誤差)であった。機械学習の結果,RH推定モデルの説明変数として,地温,土壌水分,チャンバー内CO2濃度および土壌C/N比が選ばれた。推定モデルのR2は0.93,RMSEは0.08μmol m-2 s-1であった。モデルによって推定されたRSチャンバーのRHは2.29±0.08μmol m-2 s-1であり,RRは0.55±0.21μmol m-2 s-1と推定された。このRRは,従来法で推定されたRR(0.42μmol m-2 s-1)よりも大きい結果となった。現在,土壌コア法およびイングロースコア法によってチャンバー内で測定した細根動態とRRの関係性を解析中である。

 2023年にはRSチャンバーを5台増設するとともに,チャンバー内でスキャナー法を用いて細根動態の測定を行っている(図)。データを加えてRH推定モデルの精度を向上させるとともに,推定したRRの変動特性の解析を進めている。

 

キーワード: 森林生態系,根呼吸,微生物呼吸,機械学習