【研究紹介】恒常的な台風攪乱が森林生態系のバランスにもたらす影響の解明
- B分野
- B03班
2024年12月20日
松本 一穂 岩手大学/准教授(森林水文学)
気候変動にともない、今後日本では接近する台風の勢力が増すことが予測され、森林生態系も中長期的にその影響を受けることが予想されます。しかし、台風攪乱の恒常化が森林生態系にもたらす影響については実証的な知見が限られています。そこで、本研究では台風の接近頻度が非常に高い沖縄の亜熱帯林に着目し、その炭素循環の実態調査を通じて、恒常的な台風攪乱の影響下にある森林生態系の特徴を解明することを目指しています。沖縄の亜熱帯林は植物バイオマスが小さい一方、多様な動物や微生物が生息し、「生態ピラミッド」が成立していないように見えます。この理由として、恒常的な台風攪乱によって植物体が多く枯死する一方、その有機物が食料として多様な動物・微生物を育む要因になっているのではないか、と考えています。本研究では枯死有機物の供給量と動物・微生物の呼吸量の収支からこの仮説の検証を試みる予定です。
キーワード: 台風攪乱、炭素循環、枯死有機物