研究レポート

【研究紹介】
ウイルスを捉えて生物圏機能を根底から理解する革新的メタゲノム解析技術の開発

  • A分野
  • A04班
2022年10月17日
 西村 陽介  海洋研究開発機構/特任研究員(バイオインフォマティクス)

 ウイルスは生物圏において圧倒的な粒子数を誇る。大半のウイルスは微生物に感染し、代謝を改変することで宿主の死や生理的機能を司る。すなわち、ウイルスの活動は生物圏を根底から制御しており、海洋や土壌における炭素循環など、様々な生物圏機能に影響を与える。しかしながら、微生物に関する知見は圧倒的に不足しており、「ダークマター」と呼称される未知の微生物やウイルスが多くを占める。特に、ウイルスの情報解析技術は未発達であるため、環境に存在するウイルスの実態には未解明な部分が大きく残されている。

 本研究では、申請者が豊富な経験と実績を有するメタゲノム解析とウイルスゲノム解析において、3つの新しい情報解析手法を開発する。その新手法を「環境横断的」なメタゲノム・ビッグデータに適用することで、ウイルスゲノムを大量に解読し、その活動実態を理解する。以上により、ウイルスの生態に関する知識基盤を大幅に拡充し、海洋・土壌・地下圏などの様々な環境においてウイルスが果たす生物圏機能の解明に貢献する。

キーワード: ウイルス,メタゲノム,メタアナリシス,大規模データ解析