【研究紹介】土壌動物群集の同位体とDNAメタバーコーディングから炭素循環を理解する
- A分野
- A04班
2022年08月01日
兵藤 不二夫 岡山大学/准教授(同位体生態学)
陸上生態系において植物の作り出す一次生産の大部分は植食者に食べられることはなく、落ち葉や倒木として土壌に入る。これら植物の遺体は土壌微生物や土壌動物によって分解され、植物が利用できる栄養塩類が供給される。その一方で土壌微生物や土壌動物による分解を免れた有機物残渣は土壌に長期渡って貯蔵される。この有機物分解や炭素隔離といった土壌炭素動態は、気候条件や土性、近年では植物の機能形質や土壌微生物群集に着目しながら研究されている。しかしながら、土壌炭素動態に関わる土壌動物の現存量や組成、そして土壌動物の餌資源はよくわかっていない。
これらを明らかにするために、本研究はモニタリングサイト1000の複数の森林サイトにおいて、土壌動物群集全体を対象とした安定同位体、放射性炭素、DNAメタバーコーディング分析を行う。そして、気候条件や土性などの非生物的要因や、植物の機能形質や土壌微生物群集などの生物的要因とあわせて、土壌動物群集と土壌炭素動態との関連を明らかにする。
キーワード:土壌炭素蓄積、土壌動物、餌資源、同位体、DNAメタバーコーディング