【研究紹介】温暖化は土壌の炭素貯留能を低下させるか?放射性炭素を利用したアプローチ
- A分野
- A04班
2022年07月27日
安藤 麻里子 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構/研究主幹(同位体測定・解析)
土壌は植物体の約3倍、大気中の2倍以上の炭素を土壌有機物として蓄える炭素の貯蔵庫である。温暖化により長期間土壌に蓄積している難分解性の有機物が分解されると、土壌の炭素貯留能が低下し、炭素循環のバランスが崩れて地球温暖化に拍車がかかる恐れがある。本研究では、10年以上の長期にわたり温暖化操作実験を実施しているサイトを対象として、土壌表層から放出されるCO2の安定及び放射性炭素(13C及び14C)を測定し、土壌中の炭素同位体分布と比較することで、CO2の起源となる有機物が若いか古いか、表層か深層かを評価するとともに、温暖化の進行によりCO2の起源が変化するかどうかを明らかにする。
キーワード: 放射性炭素同位体、安定同位体、微生物呼吸、土壌有機物
引用文献:
- Atarashi-Andoh et al., Seasonal patterns and control factors of CO2 effluxes from surface litter, soil organic carbon, and root-derived carbon estimated using radiocarbon signatures. Agricultural and Forest Meteorology 152, 149–158, 2012