研究レポート

【研究紹介】
地球温暖化および海洋酸性化の複合ストレス対するサンゴ応答評価

  • A分野
  • A04班
2024年11月20日
山本 将史  東京都立大学/特任教授(海洋化学、分析化学)

 サンゴ礁生態系はCO2増加による地球温暖化および海洋酸性化の危機に直面している。その生態系を支えるサンゴは刺胞動物だが、体内に共生している褐虫藻の光合成によってエネルギーの大半を得て、自らの骨格を形成(=石灰化)する特殊な生物である。したがって、共生関係である褐虫藻の光合成とサンゴの石灰化を指標として、水温とCO2の複合ストレスを評価する必要がある。光合成応答は、海水中の溶存酸素(DO)の変化から既存の技術で求めることができる。一方、石灰化のシグナルであるアルカリ度について、申請者は独自の計測システムを開発し、分スケールでのリアルタイム計測を可能にした[Yamamoto et al. 2020]。そこで本研究では、開発した計測システムをサンゴの実験系に適用し、今まで把握できなかった分スケールでの光合成及び石灰化応答から水温ごとのCO2ストレス閾値を明らかにすることで、共生メカニズムの解明と将来予測に貢献する。

キーワード:海洋酸性化、地球温暖化、サンゴ、褐虫藻、石灰化、光合成

引用文献:
Yamamoto, Shoji, et al. “Development of an automated transportable continuous system to measure the total alkalinity of seawater.” Talanta 221 (2021): 121666.