研究レポート

【研究紹介】
マングローブ植林クロノシーケンス:土壌炭素の蓄積機構と溶存有機炭素プール変遷

  • A分野
  • A04班
2024年12月06日
木田 森丸  神戸大学/助教(土壌学・水圏有機地球化学)

 マングローブ林は熱帯・亜熱帯域でもっとも面積当たり土壌有機炭素(SOC)賦存量の大きな生態系であり,炭素隔離の場(ブルーカーボン)として重要である.また,その豊富なSOCプールから流出する溶存有機炭素(DOC)量は膨大で,沿岸域の生態系に大きな影響を与える.マングローブ林のこうした生物圏機能の由来はその豊富なSOCプールであるが,マングローブ林がなぜそのSOCを長期間蓄積できるのかは未解明である.本研究は,SOC安定化メカニズムの根拠となるSOC蓄積形態を経時的に明らかにし,マングローブ林におけるSOC蓄積の描像刷新を目指す.同一地点での20年に及ぶ植林クロノシーケンスという貴重な野外操作実験を活用し,林齢に伴うSOCプールの増加量とその蓄積形態を解明する.さらに,SOCプールの発達に伴う土壌中DOCの濃度と分子組成を追跡し,沿岸域の生態系に重要なDOCの特性と林齢の関係を初めて明らかにする.

 

キーワード:マングローブ,土壌有機物,溶存有機物,クロノシーケンス,比重分画,FT-ICR MS